『電子書籍の制作と販売』を読みました

『電子書籍の制作と販売』

沢辺均『電子書籍の制作と販売 出版社は、どう作り、どう売るのがいいか』(2018、ポット出版)

この本は非常におもしろかったです。

一見、タイトルからすると、前に取り上げた、同じポット出版から出ている『電子書籍制作・流通の基礎テキスト』と同じようなものを想像させますが、『基礎テキスト』が電書制作マニュアルに近いものだったのに比べると、こちらはちょっと毛色が違います。

ポット出版代表の沢辺均氏が自ら著者となり、実際の経験を踏まえた上で、中小零細出版向けに、電子書籍の制作と販売のノウハウを解説するものなのですが、特に興味深いのが、単なる解説に甘んじず、提言・提唱が多く盛り込まれているところです。

例えば、著者は電子書籍版には紙版とは別にISBNを振るのがいいと述べます。あるいはまた、電子書籍にはJP-eコードをつけるべしと説きます。EPUB3では電子書籍には固有のコードを振ることが求められていますが、このコードは他とかぶらなければ何でもいいということになっているのです。ですから「電書協EPUB3制作ガイド」ではUUIDが推奨されているのですが、著者はこれにJP-eコードを当てるべきというわけです。

JP-eコードは、20桁からなるコードで、最初の8桁にISBNの出版社記号と書名記号を振りますが、残りの12桁は自由領域になっていますので、著者はここに版や刷、ファイル形式やフォーマットなどを振ることを提案しています。

この他、紙本の取次とは別の、電子取次の話や、電子図書館への販売など、実務経験に基づいた話が非常に興味深く、有益な一冊でした。

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