『本は死なない』を読みました

『本は死なない』

ジェイソン・マーコスキー『本は死なない Amazonキンドル開発者が語る「読書の未来」』(講談社, 2014)

今度発売されるKindle端末(無印)が、第11世代になるらしいのですが、著者は、Amazon Kindleの第1世代と第2世代の開発チームに、現場責任者の一人として関わった人物だそうです。

Kindle開発秘話というよりは(その点はまったくないわけではないのですがあまり多くはない)、著者なりの本や電子書籍についての考えを記したもので、未来予測的なものが印象に残ります。

例えば、著者が提唱する「Reading 2.0」という概念は、「フェイスブック上で友人や家族、同僚とつながるように、すべての本をネットワーク上で相互にリンクさせたイメージに近い」といい、「究極的には、世界にはたった一冊の本しか存在しなくなる」といいます。

また技術的な進歩によって、電子書籍の中古販売が可能になるであろうことや、図書館の未来など、電子書籍の将来を展望してみせます。

中でも興味を惹かれたのは、電子書籍リーダー(電子書籍を読むための端末)の話です。

「だがそもそも、コンテンツを表示するための画面自体がいらないのではないかと私は思う。大きな画面に本の内容を表示するのは電力を食うし、画面があるから端末自体も大きくなってしまう」(p.256)

そこで著者が提案するのが、超小型プロジェクターを内蔵した電子書籍リーダーです。

「私の考えでは、未来の電子書籍リーダーはピコ・プロジェクターで壁やテーブルのような平面に本の内容を投射するスタイルになっていくと思う。これにはさまざまなメリットがある。電子書籍を平面に投影する形なら、どんな大きさの対象物にも書籍データを投射できるため、まず画面サイズの制約がなくなる。(……)プロジェクター一体型の端末で画面そのものを省くことができれば、本体をさらに小さく、さらに安くできる。必要なのはネットワークの接続機器とピコ・プロジェクターだけなので、親指サイズの大きさに小型化できるだろう」(p.247)

長くなったので引用は避けますが、操作はボイス・コマンド(声で指示)を用い、クラウドとも連携。投影式のため、友人たちと一緒に閲覧したり、天井に映して、寝転んで読むことも可能になると述べています。

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